安国論御勘由来 安国論別状 35ぺージ

(ねん) 甲子(こうし)七月(しちがつ)五日(いつか)彗星(すいせい)東方(とうほう)()()(こう)大体(だいたい)(いっ)国土(こくど)(およ)ぶ、()(また)()(はじ)まりてより已来(いらい)()(ところ)凶瑞(きょうずい)なり内外(ないげ)(てん)学者(がくしゃ)()凶瑞(きょうずい)根源(こんげん)()らず、()(いよい)悲歎(ひたん)増長(ぞうちょう)す、(しか)るに勘文(かんもん)(ささ)げて()()(きゅう)()(ねん)()今年(こんねん)(のち)(しょう)(がつ)(だい)蒙古(もうこ)(こく)国書(こくしょ)()るに日蓮(にちれん)勘文(かんもん)(あい)(かな)うこと(あた)かも符契(ふけい)(ごと)し、(ほとけ)(しる)して(いわ)く「()(めつ)()(のち)(いっ)(ひゃく)()(ねん)()阿育大王(あそかだいおう)出世(しゅっせ)()舎利(しゃり)(ひろ)めん」と、(しゅう)(だい)(よん)昭王(しょうおう)御宇(ぎょう)大史蘇(だいしそ)()()(いわ)く「一千年(いっせんねん)(ほか)(せい)(きょう)()()(こうむ)らしめん」と、聖徳(しょうとく)太子(たいし)()(いわ)く「()滅度(めつど)(のち)()(ひゃく)()(ねん)()山城(やましろ)(くに)(へい)安城(あんじょう)()()し」と、天台(てんだい)大師(だいし)()(いわ)く「()(めつ)()()(ひゃく)()(ねん)()()東国(とうこく)(うま)れて()(しょう)(ほう)(ひろ)めん」(とう)云云(うんぬん)(みな)(はた)して()(ぶん)(ごと)し。
日蓮(にちれん)正嘉(しょうか)(だい)()(しん)(おな)じく大風(たいふう)(おな)じく飢饉(ききん)正元(しょうげん)元年(がんねん)大疫(だいえき)(とう)()(しる)して(いわ)他国(たこく)より()(くに)(やぶ)()先相(せんそう)なりと、自讃(じさん)()たりと(いえど)()()国土(こくど)毀壊(きえ)せば()仏法(ぶっぽう)破滅(はかい)(うたが)()(もの)なり。
(しか)るに当世(とうせい)高僧(こうそう)(とう)謗法(ほうぼう)(もの)同意(どうい)(もの)なり()()(しゅう)玄底(げんてい)()らざる(もの)なり、(さだ)めて勅宣(ちょくせん)御教書(みきょうしょ)(たま)いて()(きょう)(あく)祈請(きしょう)するか、(ぶっ)(しん)(いよい)瞋恚(しんに)(つく)国土(こくど)破壊(はかい)せん(こと)(うたが)()(もの)なり。
日蓮(にちれん)(また)(これ)対治(たいじ)するの(ほう)(これ)()叡山(えいざん)(のぞ)いて日本国(にほんこく)には(ただ)一人(いちにん)なり、(たと)えば日月(にちがつ)(ふた)()きが(ごと)聖人(しょうにん)(かた)(ならび)べざるが(ゆえ)なり、()()(こと)妄言(もうげん)ならば日蓮(にちれん)(たも)(ところ)法華経(ほけきょう)守護(しゅご)(じゅう)羅刹(らせつ)()(ばつ)(これ)(こうむ)らん、(ただ)(ひとえ)(くに)(ため)(ほう)(ため)(ひと)(ため)にして()(ため)(これ)(もう)さず、(また)禅門(ぜんもん)対面(たいめん)()(ゆえ)(これ)()(これ)(もち)いざれば(さだ)めて後悔(こうかい)()()し、恐恐謹言(きょうきょうきんげん)
(ぶん)(えい)()(ねん)太歳(たいさい)戊辰(ぼしん)四月(しがつ)五日(いつか)
法鑒(ほうがん)御房(ごぼう)               日蓮(にちれん)花押(かおう)

安国(あんこく)(ろん)別状(べつじょう)
立正安国(りっしょうあんこく)(ろん)正本(しょうほん)富木(とき)殿(どの)(そうろう)()きて(たま)(そうら)はん、ときどの(富木殿)か、(また)()(がつ)廿(にじゅう)(ろく)(にち)      日蓮(にちれん)花押(かおう)